Next Moonshot

道楽を追い求めている男のブログです。

『ギャラリスト』芸術系経済小説というフロンティアと普遍的な人間の本性

とある日本画の巨匠の作品が、考えられないほどの安値で世界的なオークションで売り飛ばされた。これをキッカケに旧態依然の体制の日本の美術界に激震が走る。

 

そのキッカケを作ったのは、アートファンドを運営するファンドマネージャーの江波志帆という女性。

 

彼女の企てにより、著名画家の作品の値が暴落し、日本の株式市場に上場していた美術関連企業の株が暴落し、崩壊していく日本の美術市場。

 

その仕掛け人の彼女の本当の目的は何なのか・・・これが明らかになる過程で、人間の本性が次々と晒されていく・・・

 

人が何に、情熱、いや執念や情念を持つかは人それぞれだ。それが異性に向かう人間もいれば、名誉や金にいく人間もいる。仕事としての信念なのかもしれないし、中にはアートに行く人間もいるだろう。

 

しかし、アートとは不思議なものだ。それ自体は生命活動に何ら影響しないというのに、狂う人は本当に狂う。クリエイターもパトロンも、コレクターも、狂う人間は正気を失ったかのようにのめり込む。

 

そんなアートの世界は日本では信じられないかもしれないが、世界では数兆円というお金が流通している。金融の機能を介して、アートは超巨大なビジネスになっているのだ。また、そこには非常にクローズドな金持ちたちのコミュニティが出来上がっている。

 

この小説は芸術系経済小説という、僕にとっては馴染みのないフロンティアを切り開いた小説ではあるが、皮肉なことにアートという通貨よりも昔から存在していたものを通して、人間の普遍的な本性を描いている傑作であると言える。

 

橘玲さんの『マネーロンダリング』『永遠の旅行者』『タックスヘイブン』や真山仁さんの『ハゲダカ』シリーズが好きな方は迷わず買いだと断言したい。

 

 

ギャラリスト

ギャラリスト

 

 

 

タックスヘイヴン Tax Haven

タックスヘイヴン Tax Haven

 

 

 

ハゲタカ外伝 スパイラル

ハゲタカ外伝 スパイラル